ユバル木管五重奏団
〜ピアノと木管五重奏団による聖歌の調べ〜
ユバル木管五重奏団
小泉純子(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 14 / ピアノ)
小川かおる(10, 11, 12, 13, 15, 16 / ピアノ)
岩田学(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 14 / 編曲)
中川純良(1, 2, 3, 10, 11, 12, 13, 15, 16 / 編曲)
小川かおる(10, 11, 12, 13, 15, 16 / 編曲)
プロデュース 中川純良
「彩の国」発の好企画
ユバル木管五重奏団「聖歌」(CD)
新聞記事経済企画庁の豊かさ指標ではいい数字が出なかった埼玉県。だが、クラシック音楽の分野では随所に音響、企画の内容とも良いホールがあり、地元ゆかりの音楽家も多い「彩の国」の好感度が高まっている。新国立劇場の「魔笛」でパパゲーナを歌ったかれんなソプラノ、高橋薫子が賛美歌を軸にまとめたCD「イン・ザ・ガーデン」(アルファ)は埼玉会館へ出向していた県職員が仕掛人。所沢市民文化センターで録音した。また、入間郡在住のクラリネット奏者、中川純良の主宰するユバル木管五重奏団が彩の国さいたま芸術劇場でライブ収録したCD「聖歌」(ゴスペルワールド)も、地元の教会で音楽活動に携わる人たちならではの温かさに満ちた好盤だ。
(日本経済新聞 夕刊 1998年10月27日)
CD
賛美の世界を楽しむ喜び
降誕を待つ喜び
「聖歌」ユバル木管五重奏団
「IN THE GARDEN」高橋薫子
「この素晴らしき世界」岸義紘
文字を知らなかったと想像してみる。私は聖書が読めないから誰かの朗読を聞く。人により声や抑揚が違うから、聞くたびに聖書の世界が異なる。その時、私は戸惑うだろうか。譜面が読めない私は聞く楽しみしか知らない。しかし、異なる演奏者の賛美にふれる喜びを知っている。クリスマスが近づき、新しいCDで多様な賛美の世界を楽しみつつ、降誕を待つ喜びを味わえて幸に思う。
晩秋の聖日に三枚のCDを聞く。朝、日毎に冷たさを増す空気の中で〈ピアノと木管五重奏〉による落ち着いた聖歌を聞きながら、心を整え、教会に向かう。木管の音色は人の声に近い。それぞれの楽器に、教会のあの人、この人の歌声を重ねてみるのも楽しい。
落葉の舞う午後は、のびやかな〈ソプラノ〉の賛美を、クラシックの名曲とともに聞きつつ、礼拝の恵みを思い起こす。オルガンの響きに舞う歌声に、教会と音楽の歴史の重なりの深さがしのばれる。
日暮れの早い夕べのひと時、〈サクソフォン〉の軽やかなスタンダードや聖歌を聞いた後、一週間の導きを穏やかに祈るのもいい。教会音楽に興味ないと言っていた、職場や学校のあの人に、こんな賛美もあることを知らせてあげたい。
聞くことしか知らない人は、与えていただく喜びを知る人ではないだろうか。み子が与えられたことを喜ぶように、多様な賛美の世界を受け取りたい。(道也)
※ ※ ※
I・ピアノと木管五重奏による聖歌の調べ〈聖歌〉。ユバル木管五重奏団。ゴスペルワールド(株)(048-563-3214)。2500円
II・〈IN THE GARDEN〉高橋薫子。製作=ビクター。アルファ(株)(03-3632-3577)。3000円
III・〈この素晴らしき世界〉岸 義紘サクソフォンソロアルバム2 ホザなミュージック(0429-22-6220)。2000円
(キリスト新聞 1999年12月5日)